映画祭オープニング

これがロッキンロールだ!!

内田裕也はロック歌手としてキャリアをスタートし、その後、さまざまなジャンルで「ロック」をしてきた「現存の最も偉大なロックンローラー」である。「俺は、こう信じている。すべてのジャンルが、ロックであり、文学もファッションも美術も、その他もろもろ、ロックであるといっても過言ではない」とは本人のお言葉。

上映作品

『餌食』

餌食1979年/1時間20分/カラー
監督:若松孝二 脚本:荒井晴彦、高田純、出口出 音楽:Matumbi、Peter Tosh 出演:内田裕也、多々良純、栗田洋子

これは演技なんかじゃなくて、Rock'n Roller内田裕也の、スクリーン上での記念すべきファースト・ソロアルバムだ。『ハーダー・ゼイ・カム』meets『彼女について私が知っている二、三の事柄』級の衝撃を、不幸にも世界中がまだ知らない。英国産レゲエ、マトゥンビのベースラインに揺さぶられながら、字幕なしで『餌食』を観られる喜びを噛みしめていただきたい。SMOKE "EJIKI", real LOVE & real PEACE.(文責 モブ・ノリオ)

『実録不良少女 姦』

実録不良少女 姦1977年/1時間17分/カラー
監督:藤田敏八 脚本:出倉宏 出演:内田裕也、日夏たより、岸部一徳、小川恵、江角英明

港マコ原作『横浜ざんげ録』をもとに、十五歳で初体験、家出、売春、同棲、十六歳で出産というマコの青春を描く。内田裕也はマコと同棲し、赤ん坊を抱えてウロウロするヒモのダメ男を演じている。ソフト化もされておらず、再上映も長らくされていない貴重な作品。必見!

『エロチックな関係』

エロチックな関係1978年/1時間33分/カラー
監督・脚本:長谷部安春 脚本:中島紘一 出演:内田裕也、加山麗子、牧ひとみ、南条マキ、田島はるか

売れない探偵が、予想もつかなかった連続殺人事件に巻き込まれていくという、レイモン・マルロー原作の『春の自殺者』の映画化。1992年に『エロティックな関係』と題して宮沢りえ、ビートたけし共演でリメイクされた。この作品もソフト化、再上映のない貴重な作品。必見!

『嗚呼!おんなたち猥歌』

嗚呼!おんなたち猥歌1981年/1時間23分/カラー
監督脚本:神代辰巳 脚本:荒井晴彦 出演:内田裕也、中村れい子、安岡力也、アナーキー、石橋蓮司

売れないロックンローラーの破滅的な姿を、愛人、妻、セックスフレンドらさまざまな女たちを絡めて描いたロマンポルノの傑作。1981年度『キネマ旬報』ベストテン第5位。『映画芸術』ベストテン第2位。「ある諦念が相応の不快さにまで達した驚くべき作品である」(蓮實重彦)

『水のないプール』

水のないプール1982年/1時間43分/カラー
監督:若松孝二 脚本:内田栄一 出演:内田裕也、中村れい子、MIE、沢田研二、タモリ、赤塚不二夫

しがない地下鉄改札係の男はある日、クロロフォルムで女を眠らせ犯すことを思いつく。仙台で起きた事件をヒントに豪華キャストで描いた。 犯罪を終えた後の朝のシーンが清々しい。「内田裕也という名のロックンロールが色っぽくもない世間に舌を出した。FUCK!」(宇崎竜童)

『十階のモスキート』

十階のモスキート1983年/1時間48分 /カラー
監督・脚本:崔洋一 脚本:内田裕也 出演:内田裕也、小泉今日子、中村れい子、ビートたけし、横山やすし

オマワリが郵便局に強盗に入ってパクられて最後にカネを喰っちゃう映画(内田裕也談)。崔洋一監督のデビュー作でもある本作は内田裕也が自ら企画、脚本、製作資金調達も手がけた力作。しかし内容の過激さのため完成後も劇場公開のめどがなかなか立たなかった。

『コミック雑誌なんかいらない!』

コミック雑誌なんかいらない!1986年/2時間4分/カラー
監督:滝田洋二郎 脚本:内田裕也、高木功 出演:内田裕也、ビートたけし、三浦和義、郷ひろみ、おニャン子クラブ

TVレポーター、キナメリが当時の芸能スキャンダル、ロス疑惑、日航機墜落、豊田商事会長刺殺事件など重大事件を突撃取材。 キネマ旬報主演男優賞はじめ、映画賞を独占。カンヌ映画祭でも絶賛を受け、世界各地で上映された。NYタイムズに2度にわたり特集された

ゲスト

内田裕也内田裕也(ロックンローラー)

永遠のロッカー。日本のロックシーンに多大な影響を与え続け、タイガース、フラワートラベリングバンド、クリエイション等数々のバンドをププロデュース。1973年より大晦日開催の「ニューイヤー・ロックフェスティバル」は34回目を迎えた。今年は「STOP NUKES(核)!」をテーマに、上海-東京-ソウル-NYの同時開催が実現した。映画では『不連続殺人事件』で鮮烈主演デビュー後、製作脚本主演した7作品中、4本がその年の邦画ベスト10に選ばれるという快挙をなす。その後も『戦場のメリークリスマス』、『ブラック・レイン』、『座頭市』、『魚からダイオキシン!』、『エロティックな関係』、『赤目四十八滝心中未遂』等で強烈な存在感を示す。

モブ・ノリオモブ・ノリオ(作家)

1970年、奈良県に生まれる。大阪芸術大学文芸学科卒業。2004年に『介護入門』で第98回文學界新人賞、第131回芥川賞受賞。内田裕也映画、特に『餌食』の大ファン。自称〈ダウナー生活者〉。