カナザワ映画祭は今年もやります。
会場としていたロキシー劇場(都ホテルセミナーホール)の取り壊しの報を聞き、「ああ、金沢ではもうできないな」と諦め、昨年のカナザワ映画祭2016でファイナルと謳いましたが、内田裕也さんの「やれよ!」のお声をはじめ、沢山の方々から「続けて下さい!」の熱いお声を聞き、続けるしかないと決めました。
まあ、私にとって映画祭しか人生の楽しみはないので場所があればいつでもやる気でしたが…。
一番の問題は、昨年のカナザワ映画祭2016の9日間開催以上の規模をどう実現するかでした。カナザワ映画祭は2007年から始めましたが、年々のスケールアップを心がけており、年々少しずつ予算も増やし少しずつスケールアップをさせてきました。
そこで、昨年のゲストのクリスピン・グローヴァーさんの「色んな場所でやるのはどう?」のアドバイスに従い、金沢という場所にこだわらずに市外そして県外も視野に入れてカナザワ映画祭の会場を探しました。
まずは本拠地の金沢で7月に21世紀美術館にて「期待の新人監督」特集を開催します。
2011年の第一回目の「期待の新人監督」で内藤瑛亮監督の『先生を流産させる会』と大畑創監督の『へんげ』を上映した会場です。また、場としての華やかも含め「期待の新人監督」が巣立つ場としてふさわしいのではないでしょうか。
8月は、まず山口県山口市のYCAMで「爆音上映」特集をします。亜流のパク音上映が巷に溢れる中、爆音上映本家のboidの樋口泰人さんが日本最高の爆音上映設備と太鼓判を押すYCAMで、樋口さんの監修の元、爆音上映で体験したかった「あの作品」や「この作品」を上映します。
続いて、同じく8月に石川県羽咋市の宇宙科学博物館コスモアイル羽咋(通称UFO博物館)で「宇宙怪談大会」を開催します。
これは2010年に開催した「世界怪談大会」のスケールアップ版と考えて下さい。羽咋はUFO多発地帯でUFOの町と言われており、ここでUFO怪談など幽霊の出てこない怪談の特集したいと思っております。ビーチが近いので怪談BBQなど夏休み感あふれる祭りにしたいですね。
9月は福岡県北九州市の小倉昭和館で「フィルマゲドンⅢ」をやります。カナザワ映画祭恒例の「フィルマゲドン」第三弾です。小倉昭和館は78年の歴史ある映画館で、ここを訪れた錚々たる映画人の方たちの色紙が並ぶ様子は英雄たちの殿堂(ヴァルハラ)の風格がありました。修羅の国と言われる北九州は食べ物があまりにも美味しいので食べ歩きも楽しみです。修羅の国というよりも食の国ですね。
10月は京都みなみ会館でエロか変態っぽいのをやるつもりです。私の学生時代の90年代はここのオールナイト特集によく通いましたが、あの90年代の熱気を再現できたらなと思っております。
そして、11月には鈴木則文監督のご縁でお世話になり、映画祭を始めるきっかけになった仙台の桜井薬局セントラルホールで「初心不可忘」な特集をやります。
このように全ての開催地で全く異なる特集を行い、上映作品やトークイベントは被らないようにしますので、ファンの方はコンプリート鑑賞するのは過去最大の難易度だと思いますが、何卒よろしくお願いいたします。
最後に、自分を支えてくれる周囲の人々と、映画祭を支えてくれているファン・観客の皆様のお陰で再び、映画祭がやれる、という事に改めて感謝します。
ありがとうございます。
カナザワ映画祭主宰 小野寺生哉